千明は子供の無い夫婦で片方が死ぬと全財産が配偶者のものだと思ってたらしい。
『俺のアドバイスを完全には理解してねぇかぁ』
直接アドバイスした経験は無いでしょうから無理はありませんが同じように考える人もいるでしょうから書いておきます。
千明が勘違いしたのは「法定相続人って誰さ!?」ですから必要なら確認されると良いでしょう。以下は子供が無い夫婦の場合です。
※相続は故人名義の財産ですから逝去した配偶者の親族だけが対象です。
もっと詳しく言うと結婚した時点で親の戸籍から抜けて新しく夫婦の戸籍ができますから「夫(配偶者)の両親とは他人の関係」なのです。
① 逝去した配偶者の両親が1/3相続権を持ちます
・配偶者は全財産の2/3って事です
・逝去した配偶者の両親がいなければ祖父母ですが余りないケースでしょう。
② 両親死亡なら逝去した配偶者の兄弟姉妹が1/4
・配偶者は全財産の3/4って事です
・亡くなった兄弟姉妹に子供がいれば「甥姪」に相続権があります
依って子供の無い夫婦の場合「故人である配偶者の両親、兄弟姉妹、甥姪が誰も居ない場合は残った配偶者(夫 or 妻)が全てを相続するわけです。
生前対策を立てず全財産を配偶者が相続する事は「一人っ子」で無ければ殆ど無いんじゃないかな。
第三順位の兄弟姉妹(甥姪)については遺留分は無いので「遺言書に全財産を配偶者に相続させる」旨を明記すれば請求権はありません。
面倒が起きるのが「両親」配偶者の両親が実の両親同様に仲が良い家族ばかりではありません。
実の両親でも仲が良いとは限りませんが、嫁さんに良い感情を持ってない儀父母なら旦那である息子が逝去すれば気を遣う費用はありません。
困らせてやろうと思う義理の両親がいても不思議でなく両親は第二順位で「遺留分」が認められているので厄介です。
遺留分とは「法律で保護された最低限度の相続権利」ですから遺言書で妻に全財産を相続させると書いても遺留分の権利は消滅しません。
但し相続手続き完了後1年以内に遺留分侵害額請求する必要があります(音信不通なら死亡後10年で権利消滅)
問題のあるケース例で考えてみましょう。
故人名義のマンション(評価額900万円)が唯一の財産の場合、遺言書で全て妻に相続させると書いても故人の両親の遺留分は1/6あります。
900万円の1/6、義理の両親に150万円支払う必要があり、現金が無ければ家を売却することになっても仕方ありません。
また全財産を両親に相続させると遺言書に書いた場合、妻の遺留分は1/3(300万円)となります。
子供の無い夫婦でしたが愛人との間に子供がおり遺言書で子供のに認知をした場合、配偶者1/2、認知した子供1/2で義両親は法定相続人ではありません。
更に子供はいませんが愛人に全ての財産を相続させるとの遺言書なら妻は1/4の遺留請求可能です。
様々なケースが考えられますが「子供なしで配偶者の両親健在の対策を次回は考えてみたいと思います。
「子無し夫婦」配偶者が全て相続ではない
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