俺流執着の捨て方

我想う支援日誌
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拘り最優先、儲けは後回し

過去を冷静に振り返ってみると、要らぬ執着心を本当に捨てられたのは葬儀支援を始めて数年後、美容業の法人を閉鎖して葬儀支援の道一本に絞ってからのような気がしてます。葬儀支援の道に踏み込んだ事で他人様の生活環境、家族関係など下手な親戚より真実が見えると、余裕の有る無しも含め家族の実情が明確になるからか、多くの家族が僕の前では建前抜きの本音を語ってくれるようになります。

葬儀屋に本音を語る人は余り居ないでしょうが、事前相談で時間を掛け多少なりとも信頼が得られた証明でしょう。事前相談の段階で、傲慢、横柄、非常識な人など支援したくない人は入会拒否しますから、実際に施行する家族の大半は嫌な思いはしませんから、最後の拾骨まで和やかな時間を過ごせたり、斎場職員からは知り合いですか?と言われる会員さんも少なくありません。

葬式で儲けるが拘りなら、何を言われても我慢し高額な請求となりますが、残る家族の生活が守れ超低料金、高品質、温かく送る葬式となると、手抜きの出来ない不器用な性格と、大多数の家族は形式ばった葬式経験はあっても、温かく送る葬式の経験はしてませんから、自然の流れで温かく送れる葬式へと先導します。

初めて顔を合わせる事前相談でも建前や綺麗事は言わず媚びる事もなく、出来ない事は出来ない、嫌なものは嫌、更に「やる」「やらない」が明確ですから反感を持つ人もおられるでしょうが、結局出来ないのであれば、要らぬ期待を持たせる必要はなく、それが家族にとって外せない拘りなら依頼先を変更したほうが家族の希望に沿える事になるのです。

利益、施行数より理念に拘り無理に無理を重ねた葬儀支援プランですから、いつでも誰に聞かれても同じ回答になる本音で話すようになった事が執着を捨てる最後のトリガーひきがね、当時は満足に食えもしないが「弱者に優しい葬儀支援」への拘りから二足の草鞋を一本に絞った事だったと思う。

同じ目線で話す

1,000万円~収入のある人間が少額年金で暮らす人の心境が分るはずが無いんです。金持ちの人は貧乏人の気持ちは分かりません。と同時に貧乏人は金持ちの心境は分りません。所有してた法人を閉鎖するとは収入の道を断つ事、無収入になった上に、あんしん館レンタル料を払っても可能な限り安くしたい思えば、必然的に赤字覚悟のプランで事業を続ける事になる。どうすれば、そんな無謀が可能になるか考えた。

まず自分が利用者なら、安かろう悪かろうは論外、高品質、超低料金が最善、余裕が無いから質素な祭壇になれば、苦痛と後悔の火種になるから、使用する葬具は違和感なく、祭壇は豪華で、温かく送れる葬式の先導をして、尚且つ死後手続きのアドバイスとなれば『この家族の為に――、』と思えなければ絶対に不可能です。

最期の祭壇を具体的にすると、供物類は家族や親族が購入して飾りますけど、最初から誰が見ても違和感の無い豪華な印象になる祭壇にしておけば、貧富の差は出ませんから、これ以上はウザイと思うまで祭壇を飾ると30万円、なら200施行使えば1施行1,500円の赤字が増えるだけで全ての家族が笑顔に成れると実施。

1軒1,500円の赤字が増える事より、費用面の心配もなく、喧しい親戚が見ても違和感の無い葬具や祭壇で家族の心が温かくなれば『拘りが実現できる』この部分で手を抜けば、それまでの全てが水の泡になる。

例え税込75,000円の直葬でも、税、僧侶込170,000円の家族葬でも同じ対応、同じ特典が提供できる事が大事、自分でも理由は分りませんが、葬儀支援は全てに於いて『理念への拘り最優先』で実践してる自分がいました。その結果として『後悔に繋がるような執着心』が完全に無くなったとは言いませんが、極端に薄くなってる自分がいたんだと思う。

利用者目線の拘りが自信となり、要らぬ執着が無くなる

執着心とは自尊心も含めた要らぬプライドではないでしょうか、葬儀支援は自分は抜きで対象者の事だけを最優先した結果、利用者目線を徹底すると自分の利益等が入る余地がなく、それを入れると利用者目線では無くなる事を実感したのでしょう。これを業者は適正価格と表現しますが、利用者からすると安ければ、安いほど良く、業者の利益は理屈では分かっても本心が分ることは無いはずです。

最初は手探りでしたが、利用者数の増加と利用者の満足感が比例して上がると、自分の選択した道と言動にも自信が持てるようになり、それと反比例して下がったのが持つ必要の無い執着心でしょう。

お金が無ければ「無い」と言え、安い洋服、安い車、安い靴、何事に対しても堂々と言えるのは、自分の生き様に自信が持ててるからだと思う。執着を無くすと考えると難しいけど、自分の生き様、内面、言動、実態に自信が持てるように成れば俗に言う執着心は自然と薄らいでいると思う。

ただ、切り口を変えると葬儀支援の在り方に執着してる――、と言えるかもしれません。

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