発端は新宿区の住職からの相談
葬儀支援センター設立を決めた2008年4月、葬式の現状と問題点を整理してると、墓(焼骨)処理の問題点に気付かされた発端は、都内新宿区にある寺の住職から友人が、寺内に埋めた大きな瓶一杯に硬化した焼骨処理を相談された事から、僕の所に相談にきたのがきっかけでした。
硬化した焼骨を液状に撹拌したものをバキュームカーで吸い上げ、漁師に支障の無いであろう数海里(最低5㎞)離れた海に撒くか、山林等の所有地に埋めるくらいしか方法は無いだろうとの結論に至ったことから、火葬後の焼骨は処分できない現実であると知った。
その意味で言うと日本の土葬は棺と肉体が腐敗すればバクテリアのお蔭で様々な生物の養分となり、昔は科学繊維もなく木綿や麻だから、硬貨や瀬戸物など腐敗しない物さえ入れなければ理に適った埋葬でした。
遺骨処理できる墓は基本ひとつもない
ようは最終的な処分ができる墓は行政でも、寺でも、民間でも無いのが実態、永代供養墓と名乗る事も多い合葬墓とは、様々な人達の焼骨を一緒にする場所、これは個人的な感覚だけど、合葬墓は骨のゴミ箱のような印象があるのと、最終的な焼骨処理が出来ない点は変わらず僕は好きになれません。
「土」に還すという考え方
仏教の葬式が圧倒的に多い日本は「土葬で土に還す」と言われ馴染のある言葉で抵抗感もありませんから、土に還り易い方法を考えてみると火葬した骨は『粉骨にして撒く散骨が一番近い』と分りました。
設立当時すでに樹木葬もありましたが、樹木葬は『墓地、埋葬等に関する法律』に縛られる事、樹木葬によっては一定年数経過した焼骨は合葬墓にいれる所もあり、焼いた骨は生身の肉体よりバクテリアの影響を受け難いですから、顆粒でなく粉の飲薬状にして撒き雨で地面に吸収される散骨が最善と考えました。
粉骨はメリットが多い
また少子化による墓閉じが増えるのは明白でしたから、墓の無い人が増えるのも必然、なら粉骨にした一部を自宅の居間、仏壇等でジップロックで密閉した粉骨を可愛い入れ物で手元供養すれば、彼岸、盆、正月、命日いつでも自宅で手を合わせられ、いつか墓に行けない老人になっても問題はありません。
更に旅行や想い出の場所、転居先にも持って行け、両親の墓に少し撒いたり、好きだった畑や庭にも撒け、最終的には自分の焼骨と一緒に全て散骨して貰えば究極の断捨離、且つ費用が一銭も掛からないメリットも大きく、デメリットが見当たらない焼骨処理ができると新たな発想に至ったわけです。
山林名義変更に10年を要した
幸いにも粉骨専用機械が販売されてましたので、課題は散骨は『山林』か『海洋』の選択、『海洋散骨』のほうが簡単で1海里(約2㎞)以上海岸から離れた場所なら刑法上の問題はないでしょうが、漁業を生業とする漁民からすれば、福島県産ホタテ貝のように風評問題は起こり得る事から民法訴訟はありえ、他人様の生活を脅かしてまで行うのは人道的に問題があると『山林自然散骨』に絞りました。
利用者が無償貸与、購入して名義変更10年
散骨場の取得は法人設立前からの課題でしたから事ある毎に口にしてたのでしょう。設立翌年に葬式した方から事前相談の時に聞かされた僕の話しと、知ってる葬儀屋の実態が余りに違い過ぎて、僕の話しが胡散臭いと思ったそうでしたが、実際の葬式で全て本当だったと分り、自分が恥ずかしくなったのだそうです。
あんしんサポートは自分達の味方であると分った事から、父親が所有してた山林を良かったら無償で使って欲しいと申し出を受け、突然、散骨場の取得となりましたが数年後に買取り、名義変更に入ると山林で在りながら「畑」の種目であった事から、一旦山林に戻すまで植林等の問題もあり数年、さらに山林に変更してようやく当社名義になるまでに10年を要しました。
2024年4月1日~、故人名義の不動産は逝去から3年以内に名義変更しないと罰則の対象との法律が施行、国交省が現地に来て山林の線引きをした際「あんしんサポートさん、この木とその木の線上で良いですか?」との発言を聞き『うちの名義に変更されてるんだな』と実感しました。
将来を見据えた支援プラン
当支援センターの目的は『残る家族の生活を守る事』ですから、葬式だけ施行すれば良い訳でなく、直後から始まり数年後、数十年後も見据えた支援プランを創り出してきたうちのひとつが、少子化、金銭面等で墓を持たない、持てない人達の遺骨処理問題の解消対策でした。
超高齢化、老人世帯増、独居老人増、そして少子化の時代は簡単に解消されませんから、少額年金で生活する老人でも死後費用の不安なく生きられ、且つ終幕後に残る様々な不安も解消できる終幕対策は洗脳された既存の死後(葬式)概念より大事と、2007年から試行錯誤してきた16年間、当支援センターの焼骨対策は現時点では最も先進的で、団塊世代終幕期となる2030年代以降も通用する対策であると自負してます。
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